今野涼二のすべて。 第5回 / 全16回
学法石川、3年間の寮生活
高校は福島県の学法石川高校へ進学した。
野球に打ち込むためである。
3年間の寮生活が始まった。
親元を離れ、朝から晩まで野球中心の生活を送る。
自由な時間は限られている。
集団生活には規律があり、自分の都合だけでは動けない。
私はここでも主将を務めた。
当然、苦しいことはあった。
高校野球は、努力したからといって必ず報われる世界ではない。
全員が甲子園に行けるわけではないし、全員がレギュラーになれるわけでもない。
理不尽だと感じることもあった。
それでも、野球に打ち込んだ3年間を後悔してはいない。
ただ、現在の私には一つの問題意識がある。
高校時代の自分は、あまりにも野球しか知らなかった。
世の中にはどんな仕事があるのか。
社会では、どんな人間が評価されるのか。
お金はどうやって生まれるのか。
そうしたことを考える機会はほとんどなかった。
野球という一つの競技に情熱を注ぐことは素晴らしい。
だが、野球しか知らないことと、野球に打ち込むことは違う。
私は今でも高校時代の自分に会えるなら、こう伝えたい。
「もっと勉強しろ。もっと大人に会え。もっと外の世界を見ろ」
野球を辞めろと言いたいわけではない。
むしろ、野球を続けながら、人生の選択肢を増やしてほしいのだ。