今野涼二のすべて。 第4回 / 全16回
東日本大震災と、人のために動く原点
2011年3月11日。
東日本大震災が発生した。
私は福島県いわき市で暮らす中学生だった。
地震、津波、原子力発電所の事故。
それまで当たり前だった日常が、一変した。
私が特に覚えているのは、震災後、学校に100人以上の転校生がやって来たことだ。
突然、住み慣れた場所を離れなければならなくなった子どもたち。
友人とも離れ、これからどうなるのか分からない。
当時の私に社会問題を解決する力などなかった。
それでも、目の前にいる彼らとどう接すればよいのか、どうすれば笑顔を取り戻してもらえるのかを考えた。
振り返れば、私が現在取り組んでいる教育事業の原点の一つは、ここにあるのかもしれない。
人は、自分一人で人生を変えられるほど強い存在ではない。
誰かの一言、出会い、ちょっとしたおせっかいで、未来が変わることがある。
私は今、学生に対して必要以上と思われるほど世話を焼いている。
試合を見に行く。
悩みを聞く。
食事に誘う。
困っていれば人を紹介する。
効率だけを考えれば、もっと別のやり方があるだろう。
それでも私は、人が人に向き合うことの価値を信じている。